自己破産

ここでは、当事務所や無料相談センターに寄せられた多くの相談中、よく聞かれる一般的なこと、また、それらに加え、自己破産に関して最低限必要な基本的な事柄について、できるだけ分かりやすいようにお答えしてみたいと思います。


Q1.自己破産ってどういうこと?
Q2.自己破産すると借金はなくなるの?
Q3.自己破産すると、どうなってしまうの?
Q4.自己破産の手続はどうなっているの?
Q5.任意整理手続ってどういう手続?
Q6.特定調停手続ってどういう手続?
Q7.勤務先への取り立ては許されるの?
Q8.サラ金業者の高い利息は有効なの?
Q9.息子の借金、親が払わなければいけないの?


自己破産ってどういうこと?
そもそも、自己破産とはどういうものなのでしょうか。
破産というものは、多額の負債を抱え、その負債を払うことが出来なくなってしまった人や会社の最終的な清算手続です。
仮に、多額の借金を支払うことが出来なくなってしまった人や会社に対し、お金を貸した一部の者が抜駆け的に貸金の回収を計ってしまったとしたらどうでしょう?
早期に債権者(お金を貸した人)間の利害を調整して、債権者らの協力を得ての再建計画を立てれば事業の継続も可能な場合もあるでしょうし、また、抜駆け行為を行なった者のおかげで泣き寝入りをさせられる債権者が出ないよう、債権者間の不公平を阻止する必要も出てきます。
さらに、破産した者が会社ではなく、個人であるような場合には、その者が一生多額の負債を抱えて生きることのないよう、生活の再建をはかるための手続も必要です。
つまり、多額の借金を抱えてしまい、支払う事が出来なくなってしまった人の財産に関し、債権者間の平等な清算を遂行し、なおかつ、債務者本人に経済的な更生の機会を与える手続、が破産手続であると言えるでしょう。
そして、その破産の中で、特に債務者(負債を抱えた人)自ら申し立てる破産を自己破産と呼んでいるのです。
もちろん、あくまで最終的な手段でありますから、安易な借金からの解放でないか、隠している財産はないか、など、裁判所による厳格な審理が行われます。

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自己破産すると借金はなくなるの?
自己破産の申立をしますと、裁判所は申立人の支払能力を客観的かつ総合的に判断し、債務を弁済するだけの財産が無く、また、それを近くに入手できる見込みもないような場合、つまり支払不能の状態である場合には破産開始の決定を出します。
 この弁済能力の有無というのは、財産だけではなく信用や技術などが総合的に判断されますから、債務者が、債務を弁済できるだけの財産をもってはいないが、その信用や技術を活用すれば弁済資金を調達できるような場合には、支払不能状態とは言えません。
 さて、裁判所の破産開始決定によって、申立人は破産者となるわけですが、これだけで負債が免責となるわけではなく、その後に免責の決定を得る必要があります。
 但し、負債を負った主な理由が浪費である場合など、破産法に列挙されている「免責不許可事由」に該当するような、不誠実な債務者に対しては免責がなされません。
 なお、めぼしい財産の無い個人の破産事件におきましては、それ以上破産手続を遂行していく費用も無いため、破産開始決定と同時に、破産手続の廃止決定が出されることになりますが、この廃止という意味は、破産手続きがダメになってしまったという意味ではなく、換価配当という破産手続が終了したという意味と捉えてください。

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自己破産すると、どうなってしまうの?
自己破産をすることによるデメリットを非常に誤解されている人がいます。
 戸籍に記載されてしまうのではないか、皆に知られてしまうのではないか、会社を解雇されてしまうのではないか、支払不能の状態にあるにもかかわらず、そのようなことを気にして自己破産手続にふみきれず躊躇されている人が非常に多いのです。
 上記にあげたことは、すべて誤解です。
 戸籍や住民票に、破産者である旨が記載されることはありません。
 もちろん、破産するということは、支払能力が無いと認定されるわけですから、取引の安全上、何らかの形でその事実を公示する必要があります。
 それが、破産者名簿への記載と官報への公告になるわけです。
 破産者名簿というのは、市町村役場に備え付けられており、裁判所からの通知により破産者の本籍地にある名簿に記載されます。
 そこで発行される身分証明書にその旨が記されるわけですが、もちろん他人が勝手に見れるものではありません。
 官報については、一般の人が目を通す機関紙ではありませんので、皆に知られるということは事実上ないと言えるでしょう。
 ただし、近時、ヤミ金融業者は、この情報を基にDMなどで融資の勧誘を行っていますので、この点については注意が必要です。
 また、裁判所から勤務先へ破産の通知をするわけではありませんので、原則として会社に知られることもありませんし、万が一知られたとしても、それを理由に解雇することは出来ません。
 さらに、選挙権や被選挙権といった公民権にも影響はありません。
 ただし、金融機関の情報センターのリストにはいわゆるブラックとして登録されることになりますので、数年間はローンを組んだり、お金を借りることも出来ません。

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自己破産の手続はどうなっているの?
自己破産の手続は、地方裁判所へ申し立てることから始まります。
 住民票、戸籍謄本、債権者一覧表などといった必要な書類を添付し、多額の負債を負うに至った経緯や収入や資産の状況を詳細に記した申立書を裁判所に提出するわけです。
 この申立後、申立人には裁判所から呼出状が送達され、債権者である業者にも通知がなされます。
 申立人が裁判所に行き、裁判官の審尋を受けるのは、呼出状が送達されてから1、2ヶ月後になります。(裁判所によって多少異なります。)
 上記の審尋では、申立人の収入と資産、そして負債の額、支払不能に至るまでの経緯などを聞かれることになります(この審尋は省略される場合も少なくありません)。
 審尋の後、1、2週間しますと、裁判所から破産開始決定と同時廃止決定が一つの書面で、それに加えて免責審尋のための呼出状が送達されてきます(合計2通ということになります)。
 勘違いされる方が多いのですが、同時廃止決定とは、破産者にめぼしい財産が無いとき、そのまま破産手続を続行することによる費用倒れを回避するため、破産手続を廃止する決定であり、けして破産決定の不許可ではありません。ご注意下さい。
 免責の審尋では、債権者も出席することが出来、破産者に法律に列挙された免責不許可事由に該当する事由があるかないかを判断します。
 しかしながら、債権者が出席するというケースは、実際にはまれであり、異議が書面で提出されるケースもまれであります。
 そして、免責不許可事由に該当せず、特に債権者からの異議が認められなければ、免責の決定がおりるわけです。

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任意整理ってどういう手続?
多重債務の整理手続は、破産手続だけではありません。
 破産手続というのは、あくまで最終的な清算手続ですので、債務額がそれほど多くなく支払不能とまではいかない状態であれば、他の方法によって解決を図ることも当然可能なわけです。
 私的整理とも呼ばれるこの任意整理手続は、言ってみれば、裁判所を利用しないでする業者との私的な交渉です。
 具体的には、取引開始時に遡って利息制限法所定の金利に引き直し、債務を圧縮し、残債務額を将来の利息を減免のうえ、分割払いをすることを申し入れることとなります。
 といいましても、直接本人が交渉しても容易には応じてくれませんから、この手続を利用するには、代理権を持つ認定司法書士か弁護士に依頼することになるでしょう。
 この場合の費用は、だいたい1社あたり3万円程度を目安にしてください。
 詳しくは、司法書士又は弁護士に直接お聞きください。
 利用するにあたって、まず注意すべき点は、すべての業者と示談が成立できるかです。
1社でも成立しなければ、その1社から訴訟を提起されたり、給料を差し押さえられたりして、せっかく示談の成立した他社への支払いも不能となってしまう可能性があるからです。
また、あまりにも長期の返済計画案ですと業者は応じてくれません。3年程度が目安となります。
 つまり、生活費を除いた返済に回せる額で、上記の金額を返済するのに3年以上かかるようでしたら、民事再生や自己破産を検討すべきだということです。
 また、よくあるのが、司法書士・弁護士に依頼する際に一部の負債を自分でなんとかしようと隠すことです。
 それにより、再び多重債務に陥ってしまう例が多いですから、司法書士・弁護士に依頼する際には全てを包み隠さず話すようにして下さい。
司法書士・弁護士に依頼せず、両親や親戚に整理を頼むケースもありますが、このような場合、業者に言われた金額をそのままま払う例が多く、いわゆる「良いお客」ということになってしまい、返済後の融資の勧誘などにより再び借入れを起こす場合が多いのが実状です。
 従いまして、一括返済をする場合においても、司法書士や弁護士に介入してもらった方がベターと言えますが、この場合にはブラック情報に掲載されることは免れません。

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特定調停手続ってどういう手続?
任意整理手続の他にも、特定調停による債務整理の手続があります。
 特定調停は、言ってみれば、裁判所を通した任意整理手続とも言えます。
(その点、先にあげた任意整理手続と共通する部分が多くありますので、そちらも参考にしてみて下さい。)
 そもそも、調停制度は、専門的な法律知識を持たない一般の人にとって利用し易い、簡易で低廉な紛争解決を目的としていますので、司法書士・弁護士といった専門家に依頼することなく自分で出来る、というところに利点があります。
 簡易裁判所に直接尋ねれば、手続について教示してくれます。
 ただ、調停は、相手方のある話し合いによる解決手段ですので、合意が成立しなければ、不調となって終わることも考えられます。
少なくとも次の点は考慮しておいて下さい。
・支払不能状態でないこと。
当然の事ですが、定収入がなければ月々の支払いは出来ませんので、そもそも話し合いは無理でしょう。
また、定収入が少なく月々の支払いが難しいような場合、民事再生や自己破産手続も念頭に入れて検討すべきでしょう。
・調停が成立した場合、その約束を厳守する必要があること。
多くのケースでは、月々の支払いを2回若しくは3回怠った場合には、残金一括請求が出来る、という旨の約定がなされています。
すなわち、支払いの遅延は、給与債権等の差押をされる、という危険性を孕んでいることを忘れないで下さい。

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勤務先への取り立ては許されるの?
サラ金業者への支払いが遅滞しますと、自宅、勤務先を問わず、業者からの督促の電話が頻繁にかかってくるようになり、請求書も送られてくるようになります。
 自己破産の申立を行なうことによって、清算手続を遂行するにあたっての障害を避ける必要上、こういった個別の取立行為は規制されることになります。
 サラ金業者を規制する「貸金業法」によりますと、第21条に規定される「取立行為の規制」として、「人を威迫しまたはその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない。」となっています。
さらに、これを受けた金融庁事務ガイドラインにより、具体的にサラ金業者がしてはならない行為を詳細に規定しています。
以下に挙げてみます。
1.暴力的な態度をとること。
2.大声をあげたり、乱暴な言葉を使ったりすること。
3.多人数で押しかけること。
4.正当な理由なく、午後9時から午前8時まで、その他不適当な時間帯に、電話で連絡し若しくは電報を送達し又は訪問すること。
5.反復又は継続して、電話で連絡し若しくは電報を伝達し又は訪問すること。
6.貼り紙、落書き、その他いかなる手段であるかを問わず、債務者の借入れに関する事実、その他プライバシーに関する事項等をあからさまにすること。
7.勤務先を訪問して、債務者、保証人等を困惑させたり、不利益を被らせたりすること。
8.他の貸金業者からの借入れ又はクレジットカードの使用等により弁済することを要求すること。
9.債務処理に関する権限を、弁護士に委任した旨の通知又は調停その他裁判手続をとったことの通知を受けた後に、正当な理由なく支払請求をなすこと。
10.法律上支払義務のない者に対し、支払請求をしたり、必要以上に取立への協力を要求したりすること。
11.その他正当とは認められない方法によって、請求をしたり取立てをすること。
したがいまして、この規制の7により、勤務先への訪問は許されないということになるものと思われます。
 また、勤務先への電話につきましても、あまりに回数が多ければ、上記規制の5によって許されるべきではないものと言えましょう。

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サラ金業者の高い利息は有効なの?
一般に「サラ金三悪」と言われるものは、「高金利」、「厳しい取立て」、「過剰与信」ですが、その中の「高金利」に関して説明をします。
まず、お金貸し借りについての利息を制限する法律として「利息制限法」というものがあります。
その法律によりますと、
・元本が10万円未満の場合           年2割
・元本が10万円以上100万円未満の場合   年1割8分
・元本が100万円以上の場合          年1割5分
となっています。
 そして、この割合を超過した部分については、無効であるとしています。
ところが、ご存知のように、ほとんどのサラ金業者は、年2割から3割程度の金利で営業をしています。
 何故そんなことが許されているのでしょうか?
 利息制限法に罰則規定がないこと、これまでの「貸金業の規制等に関する法律」によって、一定の要件を満たした場合に限り、上記のような高金利も有効であるという規定があったことによると思われます。
 しかしながら、上記の要件は極めて厳格であり、最高裁においても事実上ほぼ完全に否定されたと言ってよい状況ですので、原則はあくまで利息制限法による金利であることを忘れないで下さい。

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息子の借金、親が支払わなければいけないの?
多額の借金をかかえてしまった子を持つ両親から多く寄せられるのが、私たちには支払い義務があるのでしょうか、という相談です。
子が未成年者でないかぎり、その両親は、当然に子の借金について支払いの責任を負うものではありません。
 ただし、両親が、その子の連帯保証人となってしまっている場合は別です。この場合には、当然に支払い義務が生じますので、注意して下さい。
 夫婦の間の責任も、まったく同様に考えて下さい。
例えば、夫のサラ金からの借入金について、妻だからという理由だけで、当然には支払い義務はないのです。
 よく、離婚すれば、夫の借金について逃れることができると考えている方がいますが、それも誤解に基づいているケースが少なくありません。
 連帯保証人となっていなければ、離婚しようがしまいが原則的には支払い義務はなく、 反対に、連帯保証人となっていれば、離婚しても支払義務は残るのです。
 さて、こうしたケースで多いのが、親が子のためを思い、借入金を返済してしまうことです。
 確かに、一時的には整理されたことになるのですが、今一度よく考えてみて下さい。
 本人が払えなくなってしまった場合に、その親が払ってくれるという客は、業者にとっては最優良客の1人になると考えられませんか。
 その結果、返済の後もダイレクトメールなどによって、融資の勧誘がエスカレートする例も少なくないのです。
 現実に、当事務所には、両親が何度も援助したにも関わらず、2度3度と、同じ過ちを繰り返し、両親にも支払い能力が無くなった後に、やむなく破産手続をするという依頼人が多く訪れています。
 そう考えてみますと、子の借金だからといって、安易に親が助けてしまうということの逆効果についても、真剣に検討すべきだと言えるのではないでしょうか。

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