商業登記(会社法)

平成18年6月1日に会社法が施行されました。この会社法は、いままで商法の一部として規定されていた会社に関する法律を独立させたものです。
ただ独立させただけではなく、いままでの商法とは全く会社に対する概念が異なることとなった大改正といえます。
会社法施行にともなって、会社に関する法律がどのように変わったかを簡単にご説明したいと思います。


Q1.有限会社がなくなったって聞きましたが?
Q2.機関設計が柔軟化したと聞きましたが?
Q3.会社にはどのような種類がありますか?
Q4.資本金が1円でも株式会社が作れると聞きましたが?
Q5.役員の任期を伸ばすことができると聞きましたが?
Q6.いろいろな種類の株式が発行できると聞きましたが?
Q7.そろそろ引退して会社を長男に譲りたいのですが、どうすればよいでしょうか?
Q8.新しくできた会計参与は何をするんですか?
Q9.LLPとは何ですか?
Q10.会社を解散したいのですが。


有限会社がなくなったって聞きましたが?
はい。平成18年5月1日に会社法が施工され、現在、存在する有限会社は会社法の規定によって株式会社として存続するものとされました。(法律上は特例有限会社といいます。)
ただし、法律上は株式会社の扱いとなりますが、名称については今までどおり「有限会社」となります。
特例有限会社は法律上、株式会社の扱いですので、今までの有限会社と異なり、株式を発行するなど、以前は株式会社にしか出来なかったことも可能となりました。
また、会社法の施行に伴って、これから、新たに有限会社は設立することができなくなりました。
今までは小規模で会社を起こしたいときは有限会社を設立することが多かったのですが、これに変わって、合同会社という制度ができました。
合同会社については後ほど説明いたします。

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機関設計が柔軟化したと聞きましたが?
はい。新会社法施行によって、会社の機関設計がかなり柔軟にできるようになりました。
特に大きな変更点は、取締役ひとりでも株式会社が設立できるようになったこと、従前は取締役会+監査役を設置しなければならなかったものが取締役会を廃止したり、監査役を廃止したりすることができるようになりました。
旧商法では株式会社には取締役を3名以上置かなれかればならない規定があり、名目上だけの取締役や監査役が存在しているケースが有りましたが、これからは定款を変更して、変更登記をすることにより、定款と実態とが合致した会社を運営することができるようになりました。

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会社にはどのような種類がありますか?
会社の種類には株式会社、合同会社、合名会社、合資会社があります。
株式会社は一番よく聞くかと思いますが、特徴は、出資者は株主と呼ばれ、株主の責任は有限責任という点です。
有限責任とは株主は出資した範囲でしか、株式会社に責任を負わないということです。
有限責任としたのは株式会社は他の会社に比べて規模が大きくなることが多いため、できるだけ多くの株主を集めるために、安心して投資できるように責任が限定されています。
合名会社はその反対で、出資者(法律上は社員とよばれます)は無限に責任を負います。合名会社は家族のみでの経営など比較的規模の小さな会社に多いです。
合同会社とは、会社法が施行された時に新たに作られた会社の形態です。
有限会社が廃止されたことに伴って、有限会社に変わるものとして有限会社と同じく、有限責任の会社です。
株式会社との違いは、株式会社の配当は原則として、出資額に応じて配当が行われますが、合同会社では、定款で定めることによって、柔軟な損益分配が可能です。
合資会社は、合名会社と合同会社の中間に位置します。出資者(社員)は有限責任社員と無限責任社員がいます。
仮に、有限責任社員がいなくなった場合には、合名会社は一定の期間を置いた後、合名会社になります。無限責任社員がいなくなった場合には、一定の期間を置いた後合同会社になります。

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資本金が1円でも株式会社が作れると聞きましたが?
はい。新会社法から最低資本金制度が廃止されたため、理論上は、資本金が1円でも株式会社を設立できるようになりました。
ただし、株式会社の設立のためには、定款について認証を受け、設立のための登記やなければならず、1円ですべて会社がつくれるという意味では有りません。
また、現実的な問題として、株式会社として活動していく上で、資本金1円の会社が取引先にどれほどの信頼を得られるのかも考えなければなりません。
専門家やこれから行おうとする事業に精通している方に相談してみることも得策かもしれません。

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役員の任期を伸ばすことができると聞きましたが?
はい。今までは取締役の任期は2年間、監査役の任期は4年間とされていましたが、会社法施行後、非公開会社(すべての株式について譲渡制限の付いている株式会社です)については、定款の規定を変更して役員(取締役、監査役)の任期を最大10年まで伸張することができます。
いままでは、2年間に一度、役員変更の登記をしなければならなかったのですが、これによって、役員変更登記を軽減することができるようになりました。
ただし、10年に伸張したことで、役員変更登記を忘れがちになるため注意が必要です。
役員変更登記を忘れないように、例えば、取締役の任期を4年間として、オリンピックのある年に役員変更登記をする。など工夫することもできます。

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いろいろな種類の株式が発行できると聞きましたが?
はい。新会社法では、9種類の株式を発行できるようになりました。
(1)剰余金の配当
剰余金の配当について、他の株式と異なる配当をすることのできる株式です。
(2)残余財産の分配
会社が解散した場合に残余財産の分配について異なる配当のできる株式です。
(3)議決権制限株式
株主総会において議決権を行使できる事項を制限することのできる株式です。
全く議決権をなくしてしまう株式(配当のみを受けることのできる株式)を発行することもできます。
(4)譲渡制限株式
譲渡による当該株式の取得について承認を要する株式です。
譲渡を認めない場合に株式の買取を会社側に請求することもできます。
(5)取得請求権付株式
株主が会社に対して当該株式の取得を請求することができる株式です。
株式会社は取得の対価を交付することになります。
(6)取得条項付株式
会社が一定の事由が生じたことを条件として、株主から当該株式を取得することができる株式です。
取得条項株式の一部のみについての取得も可能です。
(7)全部取得条項付株式
株主総会の決議により、その株式の全部を取得することができる株式です。
株主総会による株式の取得時に対価も決めることもできます。
(8)拒否権付株式
特定の事項について拒否権を認めた株式いわゆる黄金株です。
1株しか発行していなくてもその株主が承認しなければ、議案が通らない事になります。
株主総会だけでなく取締役会についての拒否権を持つ株式も発行できます。
(9)取締役・監査役選任権付株式
その種類株主の総会で、取締役又は監査役を選任することを定めた株式です。
非公開会社(株式の全部につて譲渡制限の付いている株式会社)のみ発行できます。

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そろそろ引退して会社を長男に譲りたいのですが、どうすればよいでしょうか?
会社を後継者に譲る場合には多くのトラブルが生じることが少なく有りません。
例えば、株式は財産に当たります。相続が発生した場合、後継者ではない相続人も株式を取得することになり、会社の議決権が分散してしまう恐れがあります。
これを防ぐために、種類株式を活用して、配当権のみ有する議決権のない種類株式を、後継者以外の相続人に相続する旨の遺言書を作成しておき、後継者のみに議決権のある株式を相続させることによって、議決権の分散を防ぐことができます。
このように種類株式を活用することによって、様々な事業承継の問題をクリアすることができます。

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新しくできた会計参与は何をするんですか?
会計参与は取締役と共同して、計算書類を作成します。会計参与になれるのは、公認会計士、税理士等の会計の専門家です。
会計参与を設置することは任意ですが、会計参与を設置することのメリットは今までは、監査役が会計監査を担当しているケースが多かったのですが、会計の専門家である、会計参与に会計監査を担当させることで、決算書等の信頼性を向上させることができ、金融機関の信頼を得ることによって、資金調達がしやすくなったり、新たな取引先を開拓しやすくなります。

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LLPとは何ですか?
LLPとはリミテッド・ライアビリティ・パートナーシップの略で、もともとはイギリスで活用されている制度を、日本にも有限責任事業組合契約に関する法律を制定して、平成17年5月1日から利用出来るようになりました。
特徴としては、日本では従来組合(民法組合)という制度は認められていましたが、従来の組合は無限責任制度になっており、組合が損失を出した場合には、組合員が全責任を負わなければなりませんでした。
このLLPでは、組合員は有限責任であるため、自らが出資した額以上の責任を負う必要は有りません。
異業種の企業同士の共同事業を行うなど、他社等との共同着業や、共同開発をLLPを利用して行うことができます。
ただし、LLPの組合組織から株式会社、合同会社、合資会社、合名会社への法人変更はできないため、将来、法人形態を変更したいと考えたときは一度LLPを解散した後に、株式会社を設立するなどを行わなければなりません。

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会社を解散したいのですが。
ご自身の意志で株式会社を解散する場合には、株主総会の特別決議によって、解散の決議をする方法、定款で定めた存続期間の満了、定款で定めた解散事由の発生があります。株式会社は解散をすると、清算会社となります。清算会社はその会社の有していた債権や債務などの権利義務を処理して、残った財産を株主に分配することを目的としています。
旧商法の適用があったときには、清算手続きは必ず裁判所の監督のもとで行われておりましたが、新会社法施行後は、原則として清算手続きは裁判所の監督のもとでは行わず、規制を緩和するようになりました。
残った財産の分配が終了した後に、清算結了の登記を行うことによって、会社は消滅することになります。

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