裁判所提出書類作成

 司法書士は、裁判所に提出する書類の作成代行をすることができます。代理をするのではなくて、あくまで裁判書類作成という後方支援のかたちで関わることができます。
 どのような場合に裁判書類作成が利用出来るか、簡単にご説明したいと思います。


Q1.離婚をしたいのですが、当事者の話し合いではまとまりそうに有りません。どうしたら良いでしょうか?
Q2.離婚しましたが、結婚生活中に築いた財産をもらっていません。もう手遅れでしょうか?
Q3.離婚しましたが、子供の養育費について、合意出来ません。どうしたら良いでしょうか?
Q4.遺産分割をしたいのですが、相続人の一人が行方不明です。どうしたら良いでしょうか?
Q5.私だけが、父親の療養看護と財産の管理をしてきましたが、父親が他界して、相続が発生しました。
   相続において、今までの療養看護等を考慮してもらいたいのですが、どのようにすればよいでしょうか?

Q6.父親が多額の負債を抱えたまま、亡くなりました。どのような手続きをするべきでしょうか?
Q7.夫と離婚して、私が子供2人の親権者になりました。離婚後、夫は再婚しましたが、夫が亡くなったため、
   息子2人と夫の後妻との間で遺産分割協議をすることになりました。子供2人はまだ未成年者です。
   私が子供2人親権者として遺産分割の代理人になることはできるのでしょうか?

Q8.取引先が売掛金を支払ってくれません。訴訟を起こそうと思いますが、
   その前にやっておくことはありますか?

Q9.取引先が売掛金を支払ってくれないため、裁判を起こして判決をとりましたが、この後どうやって
   回収すればいいのでしょうか?

Q10.身に覚えがない理由で、仕事を解雇されました。自分としては納得できません。
   どの様にすればよいでしょうか?


離婚をしたいのですが、当事者の話し合いではまとまりそうに有りません。
   どうしたら良いでしょうか?
夫婦間で離婚の合意ができない場合や、離婚の合意は出来たが、慰謝料等で合意ができない時は、直ちに裁判を起こすことは出来ず、まずは、離婚調停の申立を家庭裁判所に行います。(これを調停前置主義といいます。)
調停は裁判と違い、当事者の合意で解決することを目的としており、非公開で行われます。裁判官と調停委員が双方を交互に調停室に呼んで、話を聞き取る形で、調停を行いますので、当事者が顔を合わすことなく行えるよう配慮がなされています。
また、離婚調停の申立を行っても必ず、離婚しなければならないわけでは有りません。調停を行っても、離婚についての合意ができない場合に、初めて裁判を起こすことになります。

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離婚しましたが、結婚生活中に築いた財産をもらっていません。
   もう手遅れでしょうか?
離婚後であっても、財産分与請求権は、離婚の時から2年以内であれば請求することが出来ます。
かりに、離婚後に財産分与の請求をしたけど相手方と話がまとまらない場合には、家庭裁判所に調停の申立をして、財産分与を求めることが出来ます。
調停の手続では、夫婦が協力して得た財産はどれくらいなのか、財産取得の貢献の割合はどの位なのかについてなど、一切の事情をふまえた上で、解決案を示したり、解決に向けての助言をして、合意を目指します。
調停で話し合いを続けたが、調停で合意出来なかった場合には、自動的に、審判手続が開始され、家事審判官が、財産分与について決めることになります。

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離婚しましたが、子供の養育費について合意出来ません。
   どうしたら良いでしょうか?
離婚したとしても、子供を扶養する義務は、両親にあります。
したがって、子供を育てている親から他方の親に対して、家庭裁判所に調停の申立を行って、養育費の支払いを請求出来ます。(仮にまだ離婚しておらず、別居中の場合であっても、婚姻費用の分担の調停の中で養育費についての話し合いをすることも出来ます。)
さらに、一度、子供の養育費について合意が成立していたとしても、その後に、子供の進学などによって事情が変わった場合には、養育費の変更の調停申立をすることが出来ます。

 

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遺産分割をしたいのですが、相続人の一人が行方不明です。
   どうしたら良いでしょうか?
居住しているところを去って、容易に戻る見込みのない相続人がいる場合には、家庭裁判所に申立をして、不在者財産管理人を選任することが出来ます。
専任された不在者財産管理人は、家庭裁判所から許可をとって、相続人に変わって他の相続人と遺産分割協議を行ったり、不動産の売却等を行ったりすることが出来ます。

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私だけが、父親の療養看護と財産の管理をしてきましたが、父親が他界して、
   相続が発生しました。相続において、今までの療養看護等を考慮して
   もらいたいのですが、どのようにすればよいでしょうか?
相続人のうち被相続人の財産の維持又は特別の貢献をした方は、法律で定められた相続分よりも多く相続出来る場合があります。これを寄与分といいます。
相続人間の遺産分割協議によって寄与分の請求が認められないときは、家庭裁判所の調停手続を利用することが出来ます。
調停手続では当事者間の話し合いの中で、寄与分についての合意を目指します。
話し合いがまとまらず、調停手続が不成立となった場合には、審判手続の申立をすることによって、家庭裁判所が、寄与分についての審判を行ないます。

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父親が多額の負債を抱えたまま、亡くなりました。
   どのような手続きをするべきでしょうか?
相続が開始した場合には3つの手続きを選択することが出来ます。
1.被相続人の財産も負債も全て相続する法定単純承認。
2.被相続人の財産も負債も全て相続しない相続放棄。
3.被相続人に債務もあるが財産もある場合に、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の負担を受け継ぐ限定承認。

相続人が、2.相続放棄又は、3.限定承認をするには家庭裁判所に対して、その旨を申述しなければなりません。2.相続放棄又は3.限定承認をしない場合には、自動的に1の単純承認をしたものとなります。

ここでは相続放棄についてご説明します。
相続放棄をする場合には、相続が発生したことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して、相続放棄の申述をします。また、相続人が、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続財産の状況がわからず、相続を承認するか放棄するかを判断しかねる時は、申立てをすることによって、家庭裁判所はその期間を伸ばすことができます。

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夫と離婚して、私が子供2人の親権者になりました。
   離婚後、夫は再婚しましたが、夫が亡くなったため、
   息子2人と夫の後妻との間で遺産分割協議をすることになりました。
   子供2人はまだ未成年者です。私が子供2人親権者として
   遺産分割の代理人になることはできるのでしょうか?
2人の子供の親権者として、両方の代理人となって遺産分割協議を行うことは、利益相反行為となり、許されません。
この場合には、どちらかの子供については、家庭裁判所に対して特別代理人の選任を申し立てなければなりません。

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取引先が売掛金を支払ってくれません。訴訟を起こそうと思いますが、
   その前にやっておくことはありますか?
訴訟を提起しても判決はすぐに出ません。判決が出ない間に、相手方が財産を隠してしまったり、第三者に譲渡してしまうおそれがあります。それを防ぐために相手方の動きを止める必要があります。
その方法として、仮差押があります。
仮差押は、訴訟を提起した裁判所又は仮に差し押さえるべき物若しくは係争物所在地を管轄する地方裁判所に申し立てます。
裁判所は仮差押の決定前に債権者に担保を立てさせることを命じて、債権者が現実に担保を立てたときに仮差押の決定をします。
仮差押の決定が出ると、相手方は仮差押された財産を勝手に処分することはできなくなります。

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取引先が売掛金を支払ってくれないため、裁判を起こして、判決をとりましたが、
   この後どうやって回収すればいいのでしょうか?
裁判で判決を取って任意に相手方が支払ってくれなければ、判決確定後、強制執行の手続を取らなければなりません。
強制執行の対象となる財産は大きく分けて①不動産である場合②動産である場合③債権である場合の3つがあります。それぞれに対する大まかな流れは以下のとおりです。

①不動産の場合には、執行の申立は書面でしなければなりません。申立が適法にされていると認められた場合には、裁判所は開始決定を行ないます。
開始決定がされると、目的となる不動産に差押の登記がされます。その後に売却を実施します。売却が実施された後売却代金の配当が行われます。

②動産の差押の場合には、どこにある動産であるか特定すればよく、具体的にどの動産かまでは特定する必要はありません。執行官が動産を差し押さえた後

③債券の場合は、例えば、取引先の貯金のある銀行貯金を差し押さえたりすることになります。裁判所に債権差押の申立をした後、裁判所が申立に理由があると認めるときは、差押命令を発して相手方(債務者)に差押命令を送達します。
差押命令が相手方(債務者)に送達された日から1週間を経過したときは、自ら取り立てることも出来ます。

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身に覚えがない理由で、仕事を解雇されました。自分としては納得できません。
   どの様にすればよいでしょうか?
はい。方法としては、裁判外による方法と裁判による方法があります。
裁判外の方法として、あっせんの制度があります。労使紛争の斡旋機関は多数ありますが、労働局の行っているあっせん制度は費用がかからず、比較的簡単に申立することができます。
裁判上の手段としては、本訴手続き、民事調停、労働審判があります。
本訴手続きの場合は解雇の無効を主張して会社(使用者)に対して従業員であることの地位の確認と不当解雇された後の賃金の支払請求を裁判所に申し立てます。
民事調停手続きは、裁判官、調停員を交えて、当事者間の話し合いで解決を求めます。裁判(本訴手続き)に比べて、費用が安く、期間も短くすみます。
労働審判手続は、平成18年から開始された新しい制度です。労働審判は,労働審判官(裁判官)と労働審判員2人で組織された労働審判委員会が、当事者を呼び出して、原則として3回以内の期日で審理します。
労働審判委員会は期日の中で調停を試みますが、調停による解決に至らない場合には、労働審判を行うという紛争解決手続です。

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