不動産登記

 司法書士は、不動産登記手続きをあなたに代わって行う専門家です。不動産登記申請は、一般の方でも申請が容易な住宅ローン担保の抹消登記等ばかりでなく、複雑な不動産登記申請は数多く存在しています。ここでは、実際に起こりうる諸問題を事例形式でご紹介いたします。
お困りのことがありましたら、お気軽にお住まいの都道府県の司法書士会に相談いただければと思います。


Q1.祖父が亡くなりました。名義を変えたいのですが…(相続登記)
Q2.住宅ローンを返済しました。担保を消したいのですが…(抵当権抹消登記)
Q3.銀行にお金を借りて、不動産を買いたいのですが…(売買による所有権移転登記・抵当権設定登記)
Q4.家の名義を、息子名義に変えたいのですが…(贈与による所有権移転登記)
Q5.夫と離婚しました。慰謝料として家の名義を私に変えたいのですが…(財産分与による所有権移転登記)
Q6.経営している会社の取引先への支払いが滞りました。担保として、自宅を差し入れたいのですが…
   知人に300万円を貸していたのに返してくれません。どうしたらいいでしょうか…

Q7.長年、隣人の土地を通路として、使用していますが、このまま使い続けてもよいものなのでしょうか…
   (地役権設定登記)


祖父が亡くなりました。名義を変えたいのですが…(相続登記)
亡くなられた方の遺産(不動産など)を調査、遺言の有無の確認、相続人を確定したのち、遺言がなければ、どのように遺産をわけるか、相続人全員で、話し合うということになります。話し合いがまとまった後、不動産の名義を変更します(相続登記申請)。遺言がある場合は、原則として、遺言書のとおり、不動産の名義を変更します(相続登記申請)。
司法書士は、相続登記申請手続きを、あなたに代わって行うことができます。一方、遺言がなく、話し合いもまとまらないケースは、よくあります。その場合は、家庭裁判所の調停手続きを利用し、家庭裁判所で話し合うことになります。家庭裁判所に提出する調停申立書の作成も、司法書士の仕事です(裁判所における書類作成業務)。
ご健在のうちに、自分の財産を誰にあげるのか、遺言を作成すること(公正証書遺言の作成)も可能です。お気軽にご相談ください。

▲ページトップへ戻る

住宅ローンを返済しました。担保を消したいのですが…(抵当権抹消登記)
抵当権の抹消登記申請をします。あなたが、金融機関からお金を借りて、住宅を購入する際、住宅ローンの担保として、購入した不動産に設定されるのが、抵当権という権利です。
 金融機関は、住宅ローンの支払いができなくなれば、抵当権を実行し、その不動産の売却手続きをとることで、貸したお金を回収します。当然、ご自宅を失うことになります。抵当権は、とても強い権利です。一方、住宅ローンを完済した場合、抵当権の抹消登記手続きが可能になります。
 完済後、金融機関の窓口で、抹消に必要な書類一式を、受け取ってください。具体的には、抵当権の登記識別情報・金融機関の委任状・資格証明書 になります。その後、抹消登記手続きを申請すれば、抵当権の登記は、抹消されます。
 司法書士は、あなたに代わって、抹消登記手続きを行うことができます。お気軽にご相談下さい。

▲ページトップへ戻る

銀行にお金を借りて、不動産を買いたいのですが…
   (売買による所有権移転登記・抵当権設定登記)
あなたの不動産名義にする(所有権移転登記)と同時に、抵当権設定登記を申請します。そのために、一般的には、売主・買主・金融機関担当者・司法書士・不動産業者担当者等、一同が集まることになるでしょう。司法書士は、売主・買主がご本人であることの確認(本人確認)、どの不動産を売るのかの確認(物の確認)、売却意思の確認(意思確認)、抵当権設定意思の確認(意思確認)などを行い、売買代金の授受を確認後、その日のうちに、法務局に対し、登記を申請します。登記は、一週間~10日で完了することになります。
 一方、あなたが、金融機関からお金を借りて、住宅を購入する際、住宅ローンの担保として、購入した不動産につけられるのが、抵当権という権利です。金融機関は、万が一、住宅ローンの支払いが止まり、返済が継続して出来なくなった場合、抵当権を利用し、その不動産から、貸したお金を回収するということになります。当然、その不動産を失います。
 現在、簡単に言えば、住宅ローン以外の借金を大幅カットし、住宅を手放さずに債務整理する方法もあります。
(個人債務者に関する再生手続き:通称・個人債務者再生手続き)
 登記が完了すると、法務局から、登記識別情報という情報が交付されます。権利証に代わるものです。この登記識別情報は、簡単に言えば、不動産の暗証番号・パスワードになりますので、誰にも見られないよう、シールが付いています。登記識別情報は、権利証同様、大切に保管して下さい。不動産売買・個人債務者再生手続き等、お気軽にご相談いただければと思います。

▲ページトップへ戻る

家の名義を、息子名義に変えたいのですが…(贈与による所有権移転登記)
“単に不動産をあげる・もらう”場合、贈与を原因として、所有権移転登記を申請します。
司法書士は、あげる方(贈与者)ともらう方(受贈者)の意思を確認したのち、必要な書類をそろえて、所有権移転登記を申請します。 一方、書面によらない贈与契約(口約束)は、各当事者が、いつでも撤回することができます(民法550条)。よって、贈与契約書を作成し、交わすことは、非常に意義のあることと言えます。
後々、「やっぱり、あげるのやめた!」と言われるのを防ぐために。ここで、注意しなければいけないのが、贈与税という税金です。(国税庁HP)
贈与税の申告と納税は、原則、財産をもらった人が、もらった年の翌年の2月1日から3月15日までにすることになっています。贈与税は、想像以上に高額で、もらうのをためらう方がいるのも現実です。一方、贈与者が、65歳以上の親、受贈者が贈与者の推定相続人である20歳以上の子であれば、相続時精算課税制度を利用することが可能な場合があります。

▲ページトップへ戻る

夫と離婚しました。慰謝料として家の名義を私に変えたいのですが…
   (財産分与による所有権移転登記)
あなたの名義にするために、財産分与による所有権移転登記を申請します。財産分与とは、夫婦で築いた財産を離婚時に分配することを意味します。財産分与と慰謝料は、本質は異なりますが、財産分与に慰謝料を含めることができます。但し、財産分与の請求は、離婚の時から2年内にしなければなりません(民法768条)。
 まずは、夫婦で築いた財産を確定させ、どう分配するのかお互いに話し合っていただければと思います。夫婦で築いた財産とは、不動産・預貯金・株式等になるでしょう。一方、話し合いがまとまらないケースは、よくあります。その場合、家庭裁判所の調停手続きを利用するのがいいでしょう。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_07_01.html
 不動産について話し合いがまとまれば、司法書士は、双方の意思を確認し、必要な書類を揃え、財産分与による所有権移転登記申請をします。住宅ローンが残っている場合、債務者・連帯保証人の名前を変える必要もあるかもしれません。その場合は、金融機関の担当者を交え、協議をする必要もあります。お気軽にご相談下さい。

▲ページトップへ戻る

経営している会社の取引先への支払いが滞りました。
   担保として、自宅を差し入れたいのですが…知人に300万円を貸していたのに
   返してくれません。どうしたらいいでしょうか…
   (債務承認契約に基づく抵当権設定登記)
抵当権を設定する方法があります。
金融機関からお金を借りて、住宅を購入する際、住宅ローンの担保として、購入した不動産に設定されるのが、抵当権という権利です。この抵当権という権利は、金融機関だけが設定できるというものではありません。会社にお金を貸している、友人にお金を貸している場合、また、逆に自営している会社の債務を支払えない、友人にお金を借りたが一括して支払えない場合等‥、さまざまなシーンで、抵当権を有効活用することができます。 
債務承認契約とは、簡単に言えば、既発生の債権について、その存在を認め、分割して支払っていくという内容のものです。債権の種類の内容は、例えば、慰謝料・損害賠償金等が挙げられますが、債権の種類は、問いません。この承認された債務について、対象となる不動産に、抵当権を設定します。
金融機関・債権者は、万が一、支払いが止まり、返済が継続して出来なくなった場合、抵当権を利用し、その不動産から貸したお金を回収するということになります。もちろん、担保として提供した土地・建物の所有者は、その不動産を失うことになります。 このように、抵当権は、債権保全の方法として利用することができます。 住宅ローンは、あくまで、一例にすぎません。細かい点は、お気軽にご相談下さい。

▲ページトップへ戻る

長年、隣人の土地を通路として使用していますが、
   このまま使い続けてもよいものなのでしょうか…(地役権設定登記)
ひとつの方法として、隣人の方との合意の上で、地役権設定登記申請をする方法があります。地役権とは、ある土地の便益(通行すること)のために、他人の土地(隣人の土地)を利用することができる物権です。
無断で、隣人の土地を通路として使い続けることは、世代交代時・その不動産を売却する時に、トラブルになる可能性もあります。通路として使用している事実をお互いが認識しているのであれば、地役権を設定しておくことで、トラブルを未然に回避できます。
地役権の内容として、地代・存続期間を登記することはできませんが、他にも地上権や賃借権といった権利を設定することもできることから、まずは、お近くの司法書士にご相談いただければと思います。

▲ページトップへ戻る