ADR(裁判外紛争解決手続き)

 友人にお金を貸したけれど返してくれないけど、裁判まで起こして仲違いしたくない。取引先が売掛金を支払ってくれないが裁判を起こしたりして業界内に噂が広まるのは困る。など、裁判を利用したくはないが、第三者が介入して紛争を解決したいという場合に役に立つのがADRという制度です。
あまり日本では馴染みのない言葉ですが、アメリカ等では活発に利用されています。
ADRの制度について簡単にご説明したいと思います。


Q1.そもそもADRって何ですか?
Q2.裁判(訴訟)との違いは?
Q3.どんな場合に利用すると便利ですか?
Q4.本当に解決するのですか?
Q5.実際に解決した事例はありますか?
Q6.時間はどのくらいかかりますか?費用はどのくらいかかりますか?
Q7.調停人は話し合いの場では何をするのですか?
Q8.調停人はどんな人がやっているのですか?
Q9.ADRはどんな流れで進んでいくのですか?
Q10.ADRについてもっと知りたいのですが?


そもそもADRって何ですか?
ADRとはAlternative Dispute Resolutionの略称で、通常「裁判外紛争解決手続き」と訳され、裁判を行わずに紛争を解決することをいいます。
昨今では大企業が事業再生ADR申請をしたなど、新聞やTVで見かけることがあります。日本ではまだあまり聞きなれない言葉ですが、アメリカでは70年代頃から実施され、現在も盛んに利用されています。
日本においても2004年にADR法(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律)が公布され、今後活発な利用が期待されています。

ADRには様々な種類のADRがありますが、大きく分類すると、司法型、行政型、民間型がになります。
司法型…裁判所による民事調停や裁判上の和解など裁判所を通じて紛争解決を図るものです。
行政型…消費者生活センターのあっせんなど公共機関を通じて紛争解決を図るものです。
民間型…交通事故紛争処理センターなど民間の機関を通じて紛争解決を図るものです。

ここでは特にADR法の対象となる民間型をについて説明します。

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裁判(訴訟)との違いは?
ADRと裁判の違いを、現在民間型ADRを実施している静岡県司法書士会調停センター「ふらっと」との違いを例にあげて説明します。
裁判は原則として裁判官の指示の下、裁判官が両当事者の言い分を聞いて結論を出しますが、「ふらっと」のADRでは、あくまで、話し合いの中心は両当事者です。
両当事者が向い合って話し合いをし、調停人は第三者として間に入り、解決の糸口を探していくお手伝いをするという点が大きな違いです。
ADRでは、お互いが納得して円満な解決ができることを目的としています。
これからも継続してお付き合いしたい。自分の言い分も直接相手に伝えたい。と希望されている場合にはADRは非常に有効な手段となります。

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どんな場合に利用すると便利ですか?
ADRを利用すると便利だと考えられるのは、静岡県司法書士会調停センター「ふらっと」を参考例にすると、次のようなものがあります。
・法律論だけでなく自分たちで話し合いたい内容があるとき。
例えば、親族内での借家の明け渡しで、他の話題についても併せて話し合いたいとき
・裁判を利用することで商売上の評判が気になる場合
例えば、商品を販売したが、代金を払ってくれない顧客が
いる場合で、その顧客との将来的な関係というより、
商売上の評判が気になるので、なるべく円満に解決をしたい場合
・短期の解決が求められている場合
当事者に裁判にかける時間がなく、期間を詰めて話し合いたい場合
・裁判所で話し合いたくない場合
裁判所はちょっと行きづらい。大げさにしたくない場合。

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本当に解決するのですか?
今まで、当事者同士で十分話し合ったのに、これ以上話し合いをしても無駄ではないのか?と思われるかもしれませんが、当事者だけの話し合いでは感情的になり冷静な話し合いが出来ないことがときどき起こります。
静岡県司法書士会調停センターふらっとのADRでは、ロールプレイングやADRを専攻している大学教授を講師として招くなどの100時間以上の特別な研修を受けた調停人が間に入り、本当の意味での解決の糸口を見出すお手伝いをすることができます。
冷静に話し合いをして解決したいというときには、きっとお役に立てると思います。

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実際に解決した事例はありますか?
静岡県司法書士会調停センターふらっとのADRで、当事者による解決がなされました。
詳しい内容は守秘義務の関係で掲載出来ませんが、調停人の立ち会いのもと当事者同士で話し合いをした結果、長い間、解決出来なかった問題が、当事者双方とも納得したうえで1日で円満に解決することが出来ました。
これからもADRを利用した解決は増加していくものと考えられます。

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時間はどのくらいかかりますか?費用はどのくらいかかりますか?
申し込みの際に、申込費用として21,000円(内税、以下同様)と3回分の期日開催費用(期日開催1回につき10,500円)の合計額52,500円をお預かりします。
期日を3回行う前に調停が終了した場合には、開催しなかった期日分の費用は所定の方法により返金いたします。
(申し込みが受理されなかったときは全額返還、相手方が調停に応じないため調停が開始しないときは半額を返還いたします。
申し込みの後に相手方が調停に応じないため調停が開始しないときは全額を返還いたします。
第4回目以降の手続実施手数料は、均等負担にて、期日開始前までにお支払いいただきます。 但し、合意があるときは、合意に従います。)

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調停人は話し合いの場では何をするのですか?
静岡県司法書士会調停センターふらっとでは、調停人自らが判断を下したりはしません。
あくまで調停人は公正・公平の立場から進行役として、当事者同士の話を聞いて、論点を整理して図式化したり、お互いの言い分が相手方に伝わるように言い換えたりするなどして、当事者同士が円滑に話し合いが勧められるようお手伝いをさせて頂きます。

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調停人はどんな人がやっているのですか?
静岡県司法書士会調停センターふらっとでは、ADRについて100時間以上の特別な研修を受けた司法書士が調停人として参加します。
司法書士が調停人をすると言っても、調停人として、法律的にどちらが正しいなど、法律的な判断をするわけではありません。
職務上、司法書士は色々な相談を受けることがあります。そこで培った経験を活かしながら、調停人として、両当事者の話し合いがスムーズに進むように手助けをします。
また、司法書士には守秘義務がありますので、話し合いの内容が外に漏れることはありません。

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ADRはどんな流れで進んでいくのですか?
静岡県司法書士会調停センターふらっとでは、まずは、相談員が相談を受け付けます。その後に利用希望者の方にはADRについての説明を行い、申込の受付を行います。その後ふらっとの事務長が受理か不受理を判断します。そして、ふらっとの担当者から相手となる方に調停の申し込みがあったことを通知します。
通知後に相手となる方に対してもADRについての説明をした後に、調停人を選び、調停人などから手続きの概要の説明と開始の同意を行います。
以上の手続きを行った後に第1回期日が始まることになります。

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ADRについてもっと知りたいのですが?
静岡県司法書士会調停センターふらっとでは、市民の皆様も参加出来る公開講座を行っております。
過去にも、ADRの研究をなされている大学の先生を招いて、紛争解決はどのように行うか、ADRとは何かなどについて講義をしていただいております。
また、「Rcafeしずおか」という団体では様々な業種の方々が集まって、調停について一緒に勉強しています。
どなたでも参加出来ますので、どしどしご参加ください。

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